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   香椎宮頓宮

 頓宮は香椎宮の御旅所とも言われ、境内社のひとつにあたります。JR鹿児島本線勅使道踏切近くの丘に位置し、1922年(大正11)3月1日、貞明皇后(大正天皇の皇后)が香椎宮に御親拝の節、特に登られ西に開ける香椎潟の風光を賞された、杉山の西端を占める丘陵地で、本宮から約七百メートルの浜鳥居の南丘上にあります。中世以前は神殿・拝殿も存在しましたが中世以降荒廃し「御神幸」も途絶えました。1873年(明治6)に御神幸が再興し、1907年(明治40)までは必要な時だけ御仮殿が建てられていました。令和3年4月常設となる新しく再建されました。春季氏子大祭では隔年「御神幸」が行われています。頓宮への坂道を上がった境内左手に「香椎潟万葉歌碑」が建っています。1888年(明治21)、元首相広田弘毅の父、石工広田徳右衛門が刻んだもので、碑の表面には、神亀5年(728)、大宰帥等が香椎宮に参詣の後に、香椎潟の佳景を詠った和歌三首を刻んである。