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   筥崎宮の石燈籠

 国指定の重要文化財「石燈籠」、千利休奉納と伝わるこの史跡は、福岡市東部の博多湾を臨む要衝にある筥崎宮。西暦923年に遷座されたとされ豊かな歴史を刻んできた、回廊で囲まれた本殿や拝殿がある一角に石燈籠はある。高さ約2.6m。花こう岩製。六角形の優美な形状をしており、表面には獅子などの浮き彫りも施されている。石燈籠の「火袋」部分の底に記された銘文から、観応元年(1350)、京都の石清水八幡宮の子院である大乗院の燈籠として製作されたことが分かる。その後、茶人・千利休が筥崎宮に奉納(移建)したと伝えられている。さらに、豊臣秀吉公の九州平定で、平定後1587年(天正15)6月上旬から博多に20日ほど滞在。秀吉公の本陣筥崎宮の本殿に置かれたとされ、茶会もたびたび催された。滞在時の様子を、秀吉公と深く交流した博多の豪商で茶人・神屋宗湛の『宗湛日記』や地誌「筑前国続風土記」から振り返ることができる。