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   香椎宮社領

 『三苫文書』は香椎宮旧社家三苫重義氏所蔵のものであったが、現在は福岡市博物館の書蔵となっている。香椎廟の創建は神亀元年(724)である。創建に当たっては、太宰府管下の諸国に課役をかけられたが、当時の神領は、粕屋郡内の池田郷・山田郷・和白郷・三苫郷・三代郷・原上郷・蒲田郷・下原郷・今在家(いまざいけ)郷・府之郷・八田郷・多々羅郷・諸田(もろた)郷・宇彌(うみ)郷合わせて14郷、八百余町が寄進された。現在も地名として残っている。当時の「池田郷」は香椎・唐原・秋山・相島の四か村を、「和白郷」は上和白・下和白二か村を、「三苫郷」は奈多・三苫・湊(新宮)三か村を、「府之郷」は上府・下府の二か村を、「多々羅郷」は松崎・多々羅・名島の三か村を包含していた。社殿の造替・修理に際しては、創建の例により、太宰府管内の諸国に課役地が割当てられた。従ってこれら課役地を含めると千三百町余の膨大な神領となる。