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   禅宗発祥の地

 鎌倉初期の高僧栄西、入宋して本場の禅を修め、我が国に初めて禅宗を定着させた功績により、日本禅宗の開祖とも評される。鎌倉や京において多くの足跡を残しているが、実は栄西僧が禅の布教を始めたのは筑前が最初でした。栄西僧は比叡山に入山して天台宗を修め、やがて禅を修めるべく宋へ渡る。一度目は仁安3年(1168)ですが、滞在わずか半年で禅を極めるには至らなかった。帰国後、博多に住み、今津の誓願寺で起草したのが国宝「誓願寺盂蘭盆(うらぼん)一品経縁起」です。二度目の渡宋は文治3年(1187)で、宋の天台山において虚菴(こあん)禅師から臨済禅を学び、建久2年(1191)に帰国。翌年、筑前香椎に建久報恩寺を建てたのが、日本における禅宗の始まりとなる。以来栄西僧は活発な布教を行う。その後、源頼朝公から寺地を拝領して建てたのが、聖福寺です。後年、後鳥羽上皇から日本最初の禅寺である「扶桑最初禅窟」の勅額を賜り、九州臨済宗の拠点となった。