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   福岡市の板碑

  お堂や祠(ほこら)の中に、祀られた板状の石碑これを板碑といい、中世の時代に盛んに造られた石製の供養塔である、現在、福岡県の文化財に指定されている博多区の濡衣塚(ぬれきぬづか)や大乗寺跡などの板碑は、すでに『筑前国続風土記』や『筑前名所図会』などに記されている。平成4年(1992)福岡市教育委員会によって『福岡市の板碑』が刊行され、市内には4百基近くの板碑が確認されている。また東区や博多区に多く、市の西部には少ない。造立時期は13世紀から17世紀、そのピークは14世紀の南北朝時代である。さて、福岡市内の板碑の多くは、半円形ないし楕円形をした玄武岩など、自然の石を利用したものと、関東地方の緑泥片岩(りょくでいへんがん)製板碑のように成形された小型の板碑の二つである。石は地元のものを使っており、その形にも地域性が見られる。ゆえに板碑は地域に深く密着した文化財といえる。福岡の歴史を明らかにする上で貴重な歴史資料といえる。