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   宗祇の『筑紫道記』

  大内政弘(まさひろ)公の招きで連歌の大家・飯尾宗祇が文明12年(1480)6月から翌13年春ごろまでの約10か月間、山口に滞在し、政弘公が治めていた筑前国の名所を訪ねる旅を、文明12年9月6日に山口を出発、太宰府や筥崎、志賀島、香椎などを巡り、10月12日、山口へ帰る。その36日間のことを記したのが『筑紫道記』である。時に宗祇60歳の時でした。豊前・筑前両国を平定した大内氏領国の平和をことほぐ紀行文になっている。旅の中で当時の博多の様子を活写している。宗祇氏は、9月16日に太宰府天満宮に到着している。9月20日には博多に到着し、浄土宗竜宮寺を宿所にして、10日の間、博多の名所をめぐり、連歌会を行う日々を送っている。博多は、町屋が軒を争うほど繁栄していたと書き、志賀島に船で渡り、姪浜を過ぎ、再建中の筥崎宮へ、10月3日に仮殿の香椎宮を見て、山口への帰途につく。