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   赤馬館

  旧唐津街道赤間宿の「赤馬館(あかまかん)」は、JR鹿児島線・教育大前駅から旧街道を道なりに進むと、県道29号線を超えた先も旧街道だが、街並みが続く。今では小説『海賊とよばれた男』で有名になった出光佐三(でみつさぞう)の生家があることで知られる。その出光の生家跡を過ぎた右手に館はある。ここには尊王攘派公家の三条実美卿をはじめとする五卿が詠んだ和歌、早川勇の書簡に書。西郷隆盛を称える畳一枚ほどもある早川の書は、重厚な中に西郷に対する崇敬すら感じる書が展示されている。 赤間なのに赤い馬の「赤馬館」と示されていることは、『日本書紀』,『古事記』に神武天皇がこの地を訪ねた際、赤い馬に乗った神様が出迎えに現れたという伝説に基づく。赤間に五卿の書が多く残るのは、地元の人々が五卿を歓迎した証である。赤間に到着した五卿だが、福岡藩保守派の扱いは罪人同様。しかし、都人が赤間宿を訪れるのは初めて、攘夷も佐幕も、政治的な事など庶民には理解が及ばない。