133<< 132 >>131

   仙厓老人六歌仙

  「老人六歌仙」を紹介します。人間観察の確かさ、避けようもない人間の老い先・行く末を達観した大人の分別を、仙厓は表しています。
  一、 しわがよる ほくろができる 腰曲がる 頭が禿げる ひげ白くなる
  二、 手は震う 脚はよろつく 歯は抜ける 耳は聞こえず 目はうとくなる
  三、 身に添うは 頭巾(ずきん) 襟巻き、 杖、眼鏡、湯婆、温石、尿瓶、孫の手
  四、 聞きたがる 死にともながる 淋しがる 心がひがむ 欲深くなる
  五、 くどくなる 短気(きみじか)になる 愚痴になる 出しゃばりたがる 世話やきたがる
  六、 またしても 同じ話に 子を褒める 達者自慢に 人はいやがる
若い人達には、老人はとかくこうなるものだと、寛容を頼むほかはないが、これが老いの現実である。老人の現実を普通にわきまえ、仙厓和尚「老人六歌仙」を肝に銘じておくことは、若い人に老人にとっても悪いことだはありません。