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   チンチン電車が走った街

 現在の「貝塚線」は通称で、正式には「宮地岳線」である。しかも法律上は路面電車ではなく専用レールを走る鉄道です。1953年(昭和28)の新博多(後の千鳥橋)電停付近の写真を見ると、貝塚方面に行くには、新博多でチンチン電車を降り、宮地岳線に乗り換える必要があり、これは不便だったようです。本数が多かったチンチン電車と比べ単線だった宮地岳線は30分に1本程度の運行で、乗り換え客が電停付近にあふれていました。加えて2年後(昭和30年)に香椎町や多々良町が福岡市へ編入され市民の利便性向上のため、西鉄は宮地岳線にチンチン電車用のレールを敷設するなど改修し、1954年(昭和29)3月に天神から乗り換えなしで競輪場前(後の貝塚)電停まで行けるようになりました。ただ西鉄によると、あくまで宮地岳線へ「乗り入れ」を福岡市内電車としなかったのには、宮地岳線は鉄道で路面電車の軌道として認可を受け直すことは実質不可能だったからといいます。