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   県立香椎高校の校歌

  昭和23年(1948)7月1日、福岡県立香椎高等学校が発足する。戦後の混乱が落ち着いてくると、「校歌が欲しい」という声が出始めた。昭和30年(1955)、知人のつてを頼って福岡県出身の芥川賞作家・火野葦平氏に作詞を依頼した。火野氏と親交があった古関裕而氏が作曲を担当した。現在、NHK連続テレビ小説「エール」の主人公のモデルとなっている作曲家古関裕而。古関氏と火野氏は太平洋戦争で共に陸軍報道班員として従軍し、古関氏は「戦友」に作曲を頼まれると断れなかった。ここで四代・太田清蔵翁が花園の傍に「香椎花壇」という料亭を建てた。のちに県立校歌の作詞で訪れた火野葦平氏が楽しい夜を過ごした場所であった話が残っている。彼がそこで暖簾に書き残した「河童戯画図と詩」が保存されている。横三連の短冊形の暖簾に「かしいかだん」の六文字を頭文字に発句し、暖簾の下半分に彩色された絵がある。「昭和三十裕年七月十八日あしへい」と書かれた暖簾である。