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   旧制福岡中学校全焼

  旧制福岡中学時代に校舎が全焼する災難に遭う。元号が昭和に改まった翌年の1927年(昭和2年)6月23日未明、旧制福岡中学の校舎南館から火の手が上がった。新しかった木造校舎は瞬く間に燃え広がった。職員たちは焼失を免れた武道場で臨時の職員会を開いた。「授業は一日も欠かすべきでない」とまとまった。どこで授業をすればいいのか、手を差し伸べたのが、ライバル校の中学修猷館だった。福岡中は1917年の開校時に校舎がなく、修猷館の寄宿舎の一部を仮校舎にして開校したという縁があった。焼け残ったおよそ100台の机を運び込み、授業を再開した。絆は深まり修猷館の学友会は、福岡中にグランドピアノを贈る目的でチャリティー音楽祭を開いた。校舎再建の予算案が県議会で可決され、火災から約2年後の1929年、鉄筋コンクリート3階建ての新校舎が落成した。公立高で旧制中学時代の校舎を使用しているのは県内唯一で、県有形文化財に指定されている。


福岡県立福岡高等学校(旧制福岡中学校)