砂州と砂嘴てなに?
  砂嘴(さし)とは沿岸流により運ばれた漂砂が静水域で堆積して形成されるくちばし型の地形のことです。砂嘴が発達して対岸、またはその付近までに至る地形を砂州(さす)と呼びます。
 野付半島(のつけはんとう)は、北海道標津郡標津町および野付郡別海町にある細長い半島です。延長28kmにわたる砂嘴(さし)で、規模としては日本最大です。

 日本三景で有名な 天橋立(あまのはしだて)は、京都府宮津市の宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる全長3.6kmの湾口砂州(さす)です。
 


  海の中道は、福岡市東区にある志賀島と九州本土とを繋ぐ陸繋砂州(トンボロ)で長さ約10km、最大幅約2kmの巨大な砂州(さす)です。先端は「道切(みちきれ)」(満切)となり、架橋で志賀島と結ばれています。
  博多湾側(内海)の大岳から西戸崎、また雁ノ巣砂嘴(さし)が形成されています。大岳から西戸崎の砂嘴は開発が進み埋め立てや護岸壁などでその形が維持されています。雁ノ巣の砂嘴は雁ノ巣鼻と呼ばれ小さいながら、自然の砂嘴の形が残されています。

 立花山山頂から撮影(2021/2/8)



中ほど奥に小さく見える黄色のポールが右の写真 砂嘴の一番先 (奥に見えるのはマリンワールド)
 



とても風光明媚な場所です。奥は立花山 降りることができます。砂の堆積に植物が根を張っています。
   
現在の航空写真です。長さは橋元から220m程です。 1948年(昭和23年)撮影の航空写真、当時から大きさも変わらないようです。
   


Googleで見た雁ノ巣風景
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                                          ◇◇◇  小さな砂嘴(さし)の「雁ノ巣鼻」  ◇◇◇

  雁ノ巣鼻(砂嘴)は博多湾内で手つかずの自然が残った唯一の場所ではないかと思われます。 1994年から向かいの和白沖を埋め立てる人工島の工事が始まり、その後海の中道大橋が架橋されました。この雁ノ巣鼻も海流や環境の変化でじきに消滅すると思われていましたが、現在までその形が保たれています。 海の中道の陸繋砂州は全国的に有名ですが、雁ノ巣の小さな砂嘴が取り上げられることは殆どありません。自然科学の研究や教育の為にも、そっと見守って観察したい場所だと思っています。

                                                                  2022年6月 更新  YAMADA  



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